山吹(ヤマブキ)

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山吹

(ヤマブキ)

鮮やかかつ慎ましやかな色合い

山吹色と名があるのも頷ける鮮やかかつ慎ましやかな色合いです。山間の湿地に群生する水を好む習性があります。4月上旬〜5月上旬、鎌倉では海蔵寺、安国論寺、円覚寺、妙本寺などに咲きます。

開花時期4月上旬〜5月上旬
主な見所海蔵寺安国論寺円覚寺

海蔵寺の山吹(ヤマブキ)。本堂左手、池と岩壁に挟まれた場所に咲いています。

海蔵寺の山吹(ヤマブキ)。本堂左手、池と岩壁に挟まれた場所に咲いています。

バラ科ヤマブキ属の落葉低木。春の季語。山地に生えており、庭木にもされます。山吹色といわれる鮮やかな黄色の花を咲かせます。他に家紋にされたり、山吹織や木曽義仲の便女、山吹御前など様々な名に使われ愛されています。葉は狭卵形をして鋸歯があり、春になると“山吹色”の五弁の花をつけます。

扇ガ谷上杉家の家臣として現在英勝寺となっている場所に屋敷を構え、江戸城を築いたことで有名な室町時代後期の武将、太田道灌(1432-1486)に山吹に関する逸話があります。

越生(おごせ/現在の埼玉県入間郡)に来ていた道灌はにわか雨に遭い、蓑をかりようと一軒の農家を訪ねます。出てきた娘は一輪の山吹を差し出しました。蓑を借りたいのに山吹の花を渡された道灌は腹立たしく思った。

道灌は後にこのことを家臣に話すと、その心を説いてくれました。「それは後拾遺和歌集にある兼明親王の古歌“七重八重 花は咲けども 山吹の実一つだに なきぞ悲しき”にかけて、貧しい茅葺き農家のため蓑(実の)一つだにないということを、奥ゆかしく返答したのだ知ります。古歌を知らなかったことを恥じた道灌は、その後歌道よくし、名高い歌人となりました。

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