兜岩
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兜岩
かぶといわ
源頼朝が兜を乗せたと伝わる岩
道志村にある「兜岩」。源頼朝がこの岩に兜を置いて休んだと伝わります。
エリアその他
住 所山梨県南都留郡道志村長又
道志村、頼朝伝説の一つ
山梨県最東端の道志村には源頼朝の史跡が多く残されています。源頼朝は建久4年(1193年)5月8日〜6月7日、富士野で大規模な巻狩りを行いました。巻狩のさなかに起こった「曽我兄弟の仇討ち」は日本三大仇討ちの一つとして有名です。道志村では、源頼朝が富士の巻狩りの際、道志村に立ち寄ったと伝わっており、いくつかの史跡が点在しています。
「兜岩」もその一つで、源頼朝がこの岩に兜を乗せて休んだと伝わります。三角形をしたかなり大きな岩で道志村のかなり山中湖寄り、長又の山中にあります。とやの沢キャンプ場のさらに奥、林業の方々が育てた見事な杉林の中にあります。近くには道志川の支流が流れ、とても気持ちの良い場所です。
富士の巻狩りの帰路は暑い季節ですから、頼朝公は馬をつないで兜を岩に置き、一服したのでしょうか? 近くの川で顔を洗われたかもしれません。もう少し奥に進むと頼朝伝説「試し切り石」もあります。
「兜岩」、「試し切り石」にいくには「とやの沢林道」を使うか、「頼朝の剛弓」史跡のある矢野山(やのうさん)の登山道を歩き、矢頭山遊歩道からとやの沢林道に戻る道があります。詳しくは地図をご覧ください。
道志村は神奈川県相模原市や山北町と隣接し、広義には丹沢山地に含まれる道志山塊といわれる標高1,000m前後の山々に囲まれており、最高峰は御正体山(1,682m)。豊富な水量から道志川、相模川の水源を担う重要な場所です。行ってみれば村のキャッチコピー通り「水の郷」。豊かな山と川が癒してくれます。
幼名「鬼武者」、源頼朝らしい伝説
櫓沢、櫓沢川、櫓が組まれた部落・櫓開戸、宿、兜岩、試し切り石など、この土地には源頼朝の記憶がしっかりと刻まれています。櫓沢の近くに源頼朝が宿泊した「宿」という場所があり、今でも子孫の方が住んでいます。「宿」の近く、道志みち沿いに「ドライブイン宿」があり、なんとその子孫の方が運営されていました。たまたま食事に立ち寄り、運良く様々なお話を伺うことができました。800年以上前の「歴史」が今に繋がったようでした。
この兜岩を始め、頼朝が名刀の試し切りで真っ二つにしたという「試し切りの石」、突然駆け出そうとする馬を止めようと刀を突き立てた「試し岩」など、道志村に伝わっている頼朝の鬼武者ぶりは、源頼朝について調べ、考えてきた頼朝の姿、猛る鹿の角を持って押さえつけた猛者、幼名「鬼武者」そのものの道志村の頼朝伝説には共感を持ちます。よくある「貴族的で冷淡」などと源義経と対比させた安易なイメージ作りにはとても違和感を感じます。
楽しい取材
道志村は、日本有数のキャンプ場地帯として有名です。野営をしながら道志村にある源頼朝公の史跡を訪ねるのは、とても充実した時間です。また、道志村には景観を乱さない雰囲気の旅館や民宿がいくつかあり、キャンプと並んで良く利用します。施設は決して華美にならず、外人が少ないこともあって、昔ながらの雰囲気が保たれていて最高です。
主流の道志川はもちろん、少し道をはいって支流を訪ねるのも楽しみ。名物の酒まんじゅうも好物なので、直売所にも立ち寄ります。それから、この村で汲ませてもらう水の美味しさは格別です。