泉鏡花
目 次
泉鏡花
(いずみきょうか 1874-1959)
泉鏡花の圧倒的世界と岩殿寺、妙長寺
『高野聖』、『歌行燈』、『天守物語』、『春昼』など孤高の世界観を示す傑作小説を残した泉鏡花。一度読んだら忘れられない精緻な幻想世界を描く鏡花の筆致は高い評価を受け、里見弴、谷崎潤一郎、久保田万太郎、芥川龍之介などが師と仰ぐほどでした。そして、金沢うまれの鏡花もまた鎌倉とゆかりの深い作家です。
『春昼』、『春昼午刻』では、源頼朝も篤い崇敬をよせた1300年の霊場、岩殿寺が舞台となり、材木座の妙長寺に滞在した経験は「星あかり」という作品に残されています。
尾崎紅葉の作品に衝撃を受けた鏡花は1889年(明治22年)に上京、1891年(明治24年)牛込の紅葉を尋ね弟子入り。書生生活をはじめ、以後固い師弟関係を終世続けます。この年の夏、材木座の妙長寺に滞在し、その経験をもとに「星あかり」を執筆しました。
1903年(明治36年)に師である尾崎紅葉が没し、1905年(明治38年)の夏、健康を害した鏡花は療養のため逗子に移り、3年半を過ごします。『春昼』『春昼午刻』の舞台となった岩殿寺にはいまも鏡花の寄進による池が残ります。
平日の昼、『春昼』『春昼午刻』の文庫本を携えて岩殿寺の観音堂へと独り登る楽しみは格別です。岩殿寺は逗子駅から徒歩20分ほどの場所にあります。詳しくは関連史跡から岩殿寺のページをご覧ください。
関連史跡