由比若宮(元八幡)

目 次

由比若宮(元八幡)

(ゆいわかみや)

鎌倉と源氏はここから始まった

平安時代に河内源氏、源頼義が前九年の役の帰途、この地に石清水八幡宮をお祀りしました。これを移して大きくしたのが鶴岡八幡宮、そのため元八幡といわれます。

エリア由比ヶ浜・材木座
住 所鎌倉市材木座1-7
主祭神八幡大神
創 建1063年
アクセス「鎌倉駅」よりバス「元八幡」下車徒歩1分、もしくは「鎌倉駅」より徒歩15分

源氏と鎌倉の記念碑的史跡は、住宅街にぼんと佇んでいます。

源氏と鎌倉の記念碑的史跡は、住宅街にぼんと佇んでいます。

由比若宮(元八幡)。平安時代に河内源氏、源頼義が前九年の役で東北に赴く際、この地に岩清水八幡宮をお祀りしました。これを移して大きくしたのが鶴岡八幡宮、そのため元八幡といわれます。

神奈川県鎌倉市材木座1丁目7

鎌倉と源氏の本格的なつながりはここから始まりました。元八幡は、社殿が大きいとか、日本最古の云々ということもなく、場所もわかりにくいです。小さな路地に小さく建つ神社ですが、大きな歴史のポイントとなった場所です。歴史で風情を感じられるところは鎌倉の醍醐味といえるかもしれません。

かつて鎌倉の海岸線は一の鳥居のあたりまでありました。この由比若宮の前にも広大な砂浜と海岸線が広がっていたことでしょう。想像しただけで豊かな気分になれます。いまは海岸線は埋め立てられ、仕方のないことですが、残念ながら近代建築に埋め尽くされています。

『東海道中膝栗毛』で知られる十返舎一九は1813年(文化10年)に出版した『箱根 鎌倉 江の島道中記』の中でこのように記しています。
「若宮ハ、昔、鶴が岡八幡宮、此ところにありしを、頼朝公、今のところにうつし玉ふ。その跡を若宮という。いたって絶景の所なり。」

河内源氏・源頼朝の先祖、源頼義(みなもとのよりよし)は、その子義家とともに「前九年の役」(1051~1062年)において奥州の豪族、安倍氏を討伐しました。京都石清水八幡宮に戦勝祈願をしていた源頼義はそのお礼として1063年、石清水八幡宮をこの地に移しお祀りしました。これがいまの元八幡です。

由比若宮(元八幡)の鳥居。

由比若宮(元八幡)の鳥居。

この歴史は、鎌倉という土地が鎌倉幕府成立以前から関東及び以北における要衝の地であったことを物語っていのではないでしょうか。117年の後、大軍を引き連れて鎌倉入りを果たした源頼朝はいの一番(?)に元八幡(由比若宮)を訪れ、現在鶴岡八幡宮のある地に移し鶴岡八幡宮となりました。

境内には「源義家公 旗立の松」や「石清水の井」があります。元八幡とは直接の関係はありませんが、この一画には大正時代、作家の芥川龍之介が住んでいました。横須賀の海軍機関学校で英語教官をしていた芥川はここから横須賀に通っていました。通勤が大変だったのでしょうか?一時横須賀に移りますが大正7年に結婚しこの地に戻り、翌年までを過ごしました。芥川の住居跡は普通の住宅地になってしまいましたが、小説の中に一文が残っています。

「彼等は平和に生活した。大きい芭蕉の葉の広がったかげに。ー 彼等の家は東京から汽車でもたっぷり一時間かかる或海岸の町にあったから。」(『或阿呆の一生』)

後三年の役で源義家公が旗を立てたという松。どんな様だったのか、想像を巡らせてみます。

後三年の役で源義家公が旗を立てたという松。どんな様だったのか、想像を巡らせてみます。

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由比若宮(元八幡)” に対して9件のコメントがあります。

  1. 新堀雅久 より:

    京都八幡市男山より源頼義が勧請したのは、岩清水では無く石清水八幡宮であります。正しく後世に伝えて下さい。
    (源頼義38世)

    1. 鎌倉タイム管理人 より:

      ご指摘ありがとうございました。修正しました。他にもお気づきの点などあれば、ご指導下さい。

  2. 新堀雅久 より:

    訂正頂きまして、有り難う御座います。

  3. 梶  信夫 より:

    今夜の ツバキ文具店 NHK の場面は元八幡ですよね 木の名前は

  4. 新堀雅久( より:

    源頼義のかなが間違えております(みなもとのよりよし)が正解です。

  5. 新堀雅久 より:

    源頼義のかなが間違えております(みなもとのよりよし)が正解です。

    1. 鎌倉タイム管理人 より:

      ご指摘ありがとうございました。修正しました。

  6. kio_san より:

    前文に「源頼義が前九年の役で東北に赴く際」とありますが、本文にありますように東北からの帰途、戦勝のお礼としてが正しい表記だと思います。

    1. 鎌倉タイム管理人 より:

      ご指摘ありがとうございます。修正させて頂きました。

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