目 次

〈梅〉鎌倉 梅見物 日蓮、江ノ電、長谷寺

日蓮ゆかりの寺院をめぐる梅見物に長谷寺を加えて

日蓮ゆかりの地をメインに長谷寺を加えた梅見物のルートです。日蓮ゆかりのお寺が多い大町に始め、江ノ電に乗って日蓮が『立正安国論』を幕府に提出した宿屋光則邸跡に建つ光則寺に向かい、最後は長谷寺で締めます。

見所

妙本寺(梅)妙本寺(基本情報)常栄寺(梅)常栄寺(基本情報)安国論寺(梅)安国論寺(基本情報)光則寺(梅)光則寺(基本情報)長谷寺(梅)長谷寺(基本情報)
道々の名所/寄り道処
本覚寺八雲神社(大町)上行寺安養院和田塚
順路

鎌倉駅~妙本寺~常栄寺~安国論寺~(和田塚駅から江ノ電)~光則寺~長谷寺
各見所間の距離と所要時間の目安
鎌倉駅~妙本寺:550m/10分
妙本寺~常栄寺:190m/2分
常栄寺~安国論寺:700m/11分
安国論寺~(江ノ電)和田塚駅:1.5km/20分
(江ノ電)和田塚駅~長谷駅:乗車3分/190円
長谷駅~光則寺:450m/6分
光則寺~長谷寺:300m/4分

妙本寺の梅。

妙本寺の梅。

鎌倉駅~妙本寺の梅

妙本寺は身延山久遠寺、池上本門寺と並ぶ日蓮宗最古級寺院のひとつ。全国に14ある日蓮ゆかりの霊跡寺院のひとつでもあり、日蓮が池上宗仲邸における臨終の際、枕元に掛かっていたといわれる「臨滅時の御本尊」(日蓮宗の宗定本尊)といわれる十界曼荼羅を持つ格式ある寺院です。

鎌倉駅の表口(東口)を出たら駅前の交差点を渡り、右手に進みます。生涯学習センター、郵便局を過ぎたらすぐ左の道に入ります。スルガ銀行と郵便局の間です。

少し歩くと右手に本覚寺があり、すぐに小町大路にぶつかりますから、そこを右に進み夷堂橋を渡り、道なりではなく先に見える妙本寺の門に向かって真っすぐ歩きます。門をくぐると本格的に妙本寺の参道です。ゆるやかに森々とした景色の参道を登ると朱色の二天門が見えてきます。

正面に鎌倉最大級の木造仏堂建築、祖師堂が見えたらその左側に梅がたくさん植えられています。中には寒紅梅があり、1月下旬から咲き始めます。寒紅梅に続いて、陽当たりの良い木から咲き始めます。見頃は概ね2月下旬~3月初旬すぎくらいまでです。私はちらほら咲いたくらいも好みなので1月下旬から幾度か通います。まだ寒い最中に初めて嗅ぐ梅の香りは幸福感としかいいようのない気分にさせてくれます。

妙本寺~常栄寺

妙本寺の参拝と梅見物が終わったら参道を下って山門まで下り、山門の所を左手の細い道に入ります。少し歩くと左手にぼたもち寺と呼ばれる常栄寺があります。こじんまりとした境内ではありますが、日蓮の法難を救った一人の尼の信心がいまに生きる逞しいお寺さんです。梅は本堂手前左手に数本が植えられています。

常栄寺~安国論寺

常栄寺(ぼたもち寺)を出たら左へ。途中左手ある八雲神社を過ぎつつ小道をしばらく歩くと車道に出ますからまた左に。ちょうど車道に出たあたり、車道の反対側に上行寺があります。左に少し進むとツツジで有名な安養院があり、大きな槙の木がツツジの上に見えています。さらに進むと道が二股にわかれますから左手(ほぼ真っすぐ)にゆくと正面に安国論寺の門が見えてきます。

日蓮が『立正安国論』を執筆した岩屋のあるお寺として名高い安国論寺は、花木の名所でもあります。梅、桜、あじさい、山茶花、紅葉など四季を通じて静かな古刹の雰囲気とともに味わうことができます。

梅は門を入って参道の左手に続き、枝垂梅もあります。本堂前にある山茶花の大木に隠れるように咲いている小振りの紅梅は本堂に掛かるように剪定されていて雰囲気抜群です。

安国論寺~光則寺

日蓮が『立正安国論』を著した安国論寺を出たら、今度は同書を幕府に提出した宿屋光則邸跡に建つ光則寺へ。江ノ電を利用する場合は鎌倉駅か和田塚駅を使いますが、ここは同じ道を帰ってもつまらないので和田塚駅を使います。

光則寺はその名の通り宿屋光則が屋敷地を提供したものです。光則寺は花の寺として知られています。桜の前後、春に咲く鎌倉随一の海棠(カイドウ)を筆頭に、四季をつうじてあらゆる花が咲きます。

梅は門前からすでに5本~6本あり、境内にも10~20本植えられています。特に門のすぐ手前にある樹齢200年~300年の古木は地をはうようにのびており必見といえる迫力、さらにその手前にも古木があり、こちらは高くのびています。

見頃は鎌倉の一般的なもので2月中旬から3月初旬ですが、門前右手の1本と境内右手の梅が早く咲きます。樹齢200年~300年の古木は通常3月に入ってから咲きます。長谷寺と隣り合っていますが、とても対照的です。長谷寺は山そのものを使っており開放的で陽当たりがよく梅も早く咲きます。一方こちら光則寺は山に抱かれており、長谷寺より開花が遅いです。長谷寺は晴れ晴れとした梅、光則寺は森々とした梅です。

光則寺~長谷寺

日蓮ゆかりの梅めぐりは光則寺でひとまずおわり、最後はせっかく光則寺まできたのですから梅の名所長谷寺に詣でましょう。蝋梅、紅梅、白梅、黄梅、枝垂梅とそろい踏みの長谷寺は山を利用して立体的に造られた境内と相まって壮観な梅見物です。

山門脇の白梅から始まり、受付を入ってすぐ、池のある平場には池に沿って十本以上の梅があります。左の池には珍しいほど深紅な紅梅があり、中程、本堂にむかう階段の手前には枝垂梅があります。さらに階段を登ると左上に見事な黄梅が見られます。階段を登りきったあたり右足元に蝋梅があり、梵鐘前に白梅、大黒堂前にも枝振りの面白い白梅があります。

この季節、梅とともに見逃したくないのが本堂前、山門側の端に河津桜があります。2月末~3月初旬にいけばおおむね見頃です。さらに本堂左手の論蔵前には万作(まんさく)や木瓜(ぼけ)、椿があります。この頃、万作や木瓜はまだ早いものの、咲き始めの雰囲気もよいものです。

帰りは江ノ電「長谷駅」から鎌倉に戻ってJR横須賀線を利用するもよし、藤沢に向かえば、JR東海道線と小田急が使えます。

地図

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